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呼吸器疾患

肺気腫

呼吸器疾患

肺気腫とは、主にタバコや大気汚染といった有害物質によって慢性的に肺に炎症を起こし、肺胞が破壊されてしまう疾患です。「肺胞」とは気管支の末端にある小さな袋状の組織を指します。
肺胞は肺胞壁により、小さい集合体として構成され、ブドウの房状のように見えます。

この正常な肺胞・肺胞壁の状態はタバコなどを吸い続けることで肺に炎症を繰り返すようになると、肺胞壁は破壊されて不規則に癒着してしまいます。すると肺胞は大きな袋のようになってしまい、肺組織内はスカスカな状態となり、呼吸機能を低下させます。少し動いただけでも息苦しさを感じたり、「肺気腫」を発症していると気管支炎になったり、咳や痰、あるいは喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー)、体重減少など症状が出るようになります。

肺気腫の治療には、壊れた肺胞を回復ではなく、現時点では進行抑止が目標となります。具体的には喫煙者であれば、何よりもまず禁煙指導です。薬物療法として、気管支を広げて呼吸をしやすくする気管支拡張薬、痰を切りやすくする去痰薬のほか、呼吸状態によってはステロイド薬(吸入 内服 点滴など)を使用することもあります。この他にも呼吸リハビリテーション、在宅酸素療法(HOT)を行うこともあります。

気管支炎

気管支炎とは、気管支の粘膜に病原微生物(細菌やウイルスなど)が侵入、感染し、気管支が炎症を起こしている状態が「気管支炎」です。原因の大半はウイルスとされていますが、インフルエンザ菌や肺炎球菌などによる2次感染での発症もあります。主症状として、激しい咳や痰など、その他にも発熱、食欲不振、全身倦怠感などの全身症状が現れる場合もあります。

元々健康な方が発症した場合は、何らかの治療をしなかったとしても数日後には自然治癒します。なお気管支炎を治したいという場合の特効薬はなく、症状に応じた対症療法となります。鎮咳薬、去痰薬、消炎鎮痛薬、解熱剤などが選択されます。

肺炎/胸膜炎 膿胸

肺炎とは、細菌やウイルスなどの病原微生物が肺に侵入することで感染し、それによって炎症が起きている状態が「肺炎」です。主症状は、時に38℃以上の高熱、激しい咳や痰、呼吸困難感などの息苦しさ、胸痛などです。この状態が1週間以上続けば肺炎の可能性が高まります。

ただ肺に病原微生物が侵入することは珍しいことではなく、大半は防御機能が働くことで、これらは排除されていきます。一方で体力や抵抗力が落ちている方だと、肺炎に罹患しやすくなります。実際に高齢者や慢性疾患に罹患している方は、感染しやすく、治りにくいという側面があります。尚、成人の肺炎患者のうち、20~40%の方は肺炎球菌が原因と言われていることから、高齢者の「肺炎球菌ワクチン」は定期予防接種となっており、多くの自治体で単回のみ費用の一部助成がされています。(5年毎の接種が可能です)

治療では、原因とされる病原微生物(肺炎球菌など)を死滅させなくてはならないので、感受性を考慮した抗菌薬(経口抗菌薬)を選択します。他にも対症療法として鎮咳薬、解熱薬、去痰薬、気管支拡張薬、酸素投与などが使用されます。

気管支喘息

「気管支喘息」とは、主にアレルギーなどが原因で気管支が炎症を起こし、気道(空気の通り道)が狭窄し、同部位で炎症による刺激で、敏感に反応(気道過敏性の亢進)して、発作が起きる状態を言います。この疾患は、アレルギーが原因の「アトピー型」と風邪やインフルエンザ、喫煙、ストレスなどによって起きる「非アトピー型」に分けられます。

喘息発作時には、これは呼吸がしにくくなることで「ヒューヒュー」「ゼーゼー」などの異常呼吸音(喘鳴)が現れ、肩や全身を使って呼吸(補助呼吸)をしないと息苦しくなる状態です。同症状は夜から明け方や、気候変動時などに起きやすく、仰向けでは寝られず、座った状態でないと呼吸がしづらくなります。咳は一度出ると、自発的には止めにくく、痰も増加するようになります。

治療は、「発作時」にはレスキュー(頓用)として吸入薬の気管支拡張薬(SABA)を使用します。これは炎症などによって気管支(気道)が狭くなったことで発作を起こすようになった気道が広がる効果が期待できます。また、気管支を日頃から炎症させない「維持治療」として吸入ステロイド薬(ICS)や気管支拡張薬(LABA)、抗コリン薬(LAMA)の吸入を使用します。これは、ごく微量のステロイド薬や気管支拡張作用のある薬剤を専用の吸入器を用いて口から吸入する治療法です。さらに対症療法として鎮咳薬、去痰薬、抗アレルギー薬、時に炎症を抑えるため、内服ステロイド薬が使われることもあります。

喘息様気管支炎

喘息様気管支炎とは、気管支炎の一種で、乳幼児によく見受けられます。多くは風邪のウイルスなどに感染することで気管支が炎症し、粘膜が腫れて起きますが、その症状に喘息のような症状がみられることから、このような病名で呼ばれています。同疾患は、アレルギー素因をもっている小児に罹りやすいとも言われています。

主な症状には、気道が狭く、吸入や呼出がしづらくなっていることから喘息に似た症状として「ゼーゼー」という音がする異常呼吸音を示す他、風邪でよくみられる発熱、鼻水、咳、痰、喉の痛みなどです。また痰が切れにくく、気管支炎が悪化すると、入眠中に呼吸困難や、夜間中心に咳が止まず、肺炎など合併症を引き起こすこともあります。

診断には、胸部レントゲンやアレルギー検査、あるいは可能であれば呼吸機能検査など行います。尚、同疾患の治療としては、対症療法が中心です。前述同様に、気管支拡張薬、去痰剤を用いることで、症状の緩和と肺炎などの合併症予防をしていきます。また水分摂取など調節して、痰を出やすくなるようにすることも対応策も大切です。

診療科目
内科 消化器内科 小児科 予防接種 健康診断 各種検査
院長/理事長
伊藤 潔
・日本内科学会認定 総合内科専門医
・日本消化器病学会認定 消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
・日本肝臓学会 肝臓専門医
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